コンタクトレンズの「含水率」を気にしたことはありますか?
交換頻度や素材など、コンタクトレンズを選ぶ際にはさまざまなポイントをチェックすることが大切ですが、含水率もとくに注目して欲しいポイントのひとつです。
含水率は目の乾きにくさや着け心地などに影響するため、コンタクトを選ぶうえで大切な要素です。
このコラムでは、コンタクトレンズの含水率とは何か、そして含水率の違いによるメリットとデメリットについても解説していきますので、詳しくみていきましょう。
含水率とは?
含水率とは、コンタクトレンズに含まれている水分の割合のことです。
クリアコンタクトレンズやカラーコンタクトレンズなどのソフトコンタクトレンズで使用されている数値で、レンズの柔らかさや乾きやすさ、酸素透過率など、着け心地に大きく影響します。
ハードコンタクトレンズには水分が含まれていないため、含水率に注意する必要があるのはソフトコンタクトレンズのみとなります。
ソフトコンタクトレンズは、含水率によって以下の2種類に分類されます。
●高含水レンズ:含水率が50%以上のコンタクトレンズ
●低含水レンズ:含水率が50%未満のコンタクトレンズ
含水率が50%を上回るか、または下回るかが、高含水レンズと低含水レンズを分類する基準となります。
高含水と低含水の違い
コンタクトレンズは、含水率によって高含水レンズ、または低含水レンズに分類されますが、それぞれどのような違いがあるのか、着け心地や汚れにくさ、酸素透過率などから比較してみましょう。
着け心地
含水率は着け心地に影響を与えます。
高含水レンズは、含んでいる水分が多いため、柔らかく着用直後から目になじみ、着け心地がよいことが特徴です。
ただし、レンズの水分が蒸発すると、その水分を補うためレンズが涙を吸収し、目が乾きやすいと感じる場合があります。
一方、低含水レンズは高含水レンズと比較すると含水量が少ないため、装着直後になじむまでに時間がかかるケースもあるようです。
しかし、高含水レンズと比較して蒸発する水分の量が抑えられ、涙をあまり吸収しません。そのため目が乾きにくいといわれています。
酸素透過率
酸素透過率(DK/L値)とは、コンタクトレンズがどの程度酸素を通すかを表した数値です。
一般的に、酸素透過率の高いコンタクトレンズは目への負担が少ないため、長時間使用しても目の健康を保ちやすいといわれています。
酸素透過率は、含水率とレンズ素材の組み合わせによって違いがあります。
コンタクトレンズの素材は大きく2種類あり、長年にわたって使用されているHEMA素材と、より新しい技術を用いたシリコーンハイドロゲル素材に分類されます。
HEMA素材のコンタクトレンズは水分を介して酸素を目に届けるため、水分をレンズにたくさん含ませることで、酸素透過率を補う設計になっています。このため、HEMA素材のレンズは含水率が高いほど酸素透過率も高くなります。
一方シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは、素材そのものが酸素を通しやすい構造をしています。そのため、シリコーンハイドロゲル素材のレンズは含水率が低くても高い酸素透過率を維持できるという特長を持っています。
汚れにくさ
高含水レンズと低含水レンズは、汚れにくさにも違いがあります。
高含水レンズの多くはイオン性レンズに分類されます。イオン性レンズはマイナスイオンを帯びているため、プラスイオンを帯びた花粉やタンパク質汚れを引き寄せやすいといわれています。
一方、低含水レンズの多くは非イオン性レンズに分類されます。こちらはレンズがマイナスイオンを帯びていないため、プラスイオンを帯びた汚れを引き寄せにくいという性質があります。
どっちがおすすめ?
高含水レンズと低含水レンズの違いについて紹介しました。両者の特性は異なっており、どちらのコンタクトレンズが合うかは、個人の目の状態によって異なります。
高含水レンズと低含水レンズ、それぞれメリットとデメリット、またどのような方に向いているか解説していきます。
高含水レンズの場合
まずは、高含水レンズの主なメリットとデメリットについて解説します。
メリット
高含水レンズの強みとして、装着時の違和感や異物感の少なさがあげられます。水分を多く含むことから、
レンズが柔らかく目とのなじみが比較的よいためです。
デメリット
高含水レンズは、人によっては目が乾きやすいと感じる場合があります。
HEMA素材の高含水レンズは、レンズが含む水分の量が多い分、蒸発する水分も多くなるため、レンズから蒸発した水分を補おうと涙を吸収します。そのため、ドライアイの方などは乾燥を感じることがあるかもしれません。
また、比較的汚れやすい点もあげられます。
前述の通り、高含水レンズの多くはイオン性に分類されますが、イオン性レンズはマイナスイオンを帯びているため、電気質的にタンパク質汚れを引き寄せやすいことが理由です。
1dayタイプ以外のレンズであれば、使用後にしっかり洗浄することを意識しましょう。
高含水レンズはこんな人におすすめ
高含水レンズは、柔らかく装着時の違和感が少ないことから、コンタクトレンズを初めて使用する方におすすめです。
また、涙の量が多い方もレンズの乾きやすさが気になりにくく、快適な使い心地が期待できるでしょう。
低含水レンズの場合
次に、低含水レンズの主なメリットとデメリットについて解説します。
メリット
低含水レンズの強みとして、乾燥のしにくさがあげられます。
もともとレンズの水分量が少なく、水分の蒸発が抑えられることで、レンズ自体が涙を吸収しにくいためです。
このことから、長時間装着していても着け心地が変わりにくい点が強みといえるでしょう。
また、低含水レンズの多くは非イオン性に分類され、電気質的にタンパク質などの汚れを引き寄せにくいこともメリットです。
デメリット
水分を多く含んで柔らかい高含水レンズに比べ、低含水レンズはやや硬めです。
そのため、人によってはなじむまでに時間がかかる場合もあるようです。
また、HEMA素材+低含水のレンズは、その性質上、どうしても酸素透過率が低くなります。
低含水レンズのメリットと高い酸素透過率を両立させたい場合は、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズを試してみることをおすすめします。
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズについては、こちらで詳しく解説しています。
低含水レンズはこんな人におすすめ
低含水レンズは、ドライアイなど涙の量が少ない方に向いているでしょう。
また、着け心地が安定していることから、長時間コンタクトレンズを使用する方にもおすすめです。
コンタクトレンズのグループ分類について知ろう
さらに理解を深めるために、コンタクトレンズのグループ分類についてもみていきましょう。
コンタクトレンズは、電気的な性質の違いによってイオン性と非イオン性の2種類に分類されます。
このイオン特性に加えて、高含水・低含水いずれかによって4種類に分類されます。
具体的な分類は、以下の表のようになっています。
グループの特徴を知ることで、利用シーンによってコンタクトレンズを使い分けたりすることもできるでしょう。
低含水 | 高含水 | |
---|---|---|
非イオン性 |
グループI ・乾きにくい ・タンパク質、花粉などの汚れが比較的つきにくい ・形状保持に優れ、耐久性がある ・酸素透過率が比較的低い |
グループII ・乾きやすい ・タンパク質、花粉などの汚れが比較的つきにくい ・素材が柔らかく異物感が少ない ・酸素透過率が比較的高い |
イオン性 |
グループIII ・タンパク質や花粉などの汚れを吸着しやすい ・乾きにくい ・酸素透過率が比較的低い |
グループIV ・乾きやすい ・タンパク質や花粉などの汚れを吸着しやすい ・素材が柔らかく異物感が少ない ・酸素透過率が比較的高い |
※現状、グループⅢに該当するコンタクトレンズはほとんどありません。
グループIの低含水非イオン性レンズ
タンパク質・花粉汚れに強く乾燥もしにくいため、安定した使い心地を感じやすいでしょう。
とくに花粉症シーズンや、秋冬など空気が乾燥する時期にもおすすめです。
グループIIの高含水非イオン性レンズ
タンパク質などの汚れに強い点がメリットです。しかし人によっては乾燥が気になることもあるため、こまめに目薬をさすなどのケアが大切です。
ソフトな装着感のため、コンタクトレンズに不慣れな方にもおすすめのレンズです。
グループIVの高含水イオン性レンズ
装着感がよく快適な使い心地が期待できます。しかしタンパク質などの汚れが気になることもあるため、1dayタイプ以外では毎日のお手入れが大切です。
また、目の乾きを感じたときはこまめに目薬をさすなどのケアをしましょう。
このようなグループの特徴を理解すると、より自分にあったコンタクトレンズを見つけることができるかもしれません。
自分の目との相性や、使用頻度に応じてコンタクトレンズを選んでみてください。
こちらの記事では、コンタクトレンズの選び方について詳しく解説しています。
種類や使用用途別の選び方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
コンタクトレンズには高含水レンズと低含水レンズがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
単に含水率が高ければよい、というわけではなく、自分の目の状態や、利用するシーンに合わせて適切な含水率のレンズを選ぶことが大切なのです。
自分に合った含水率のコンタクトレンズを見つけてのコンタクトレンズを見つけて、快適なコンタクトレンズライフを送りましょう。