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コンタクトレンズをやむを得ず長時間装用してしまい、目に不調が出てしまったことがある方も多いのではないでしょうか?
逆に目に特に異常がないからといって日常的に長時間装用している場合もあるかもしれません。
コンタクト初心者はもちろん、コンタクトの使用歴が長い方でも、具体的に何時間まで装用を続けてよいか理解していないケースは珍しくありません。
このコラムでは、コンタクトの適切な装用時間、そして長時間装用することのリスクについて解説します。
また、初めてコンタクトを使用する場合の留意点や、長時間装用におすすめのコンタクトの種類などもあわせて紹介します。
1日のコンタクト装用時間の目安
コンタクトを装用できる時間は、使用するコンタクトの種類や目の状態、生活環境などによって異なります。
コンタクトの種類ごとの特徴と装用時間について、順番にチェックしていきましょう。
ソフトレンズの場合
ソフトコンタクトレンズには、ワンデー、2week、1monthがあります。
それぞれ素材によっても異なりますが、一日の装用時間の目安はおよそ12~16時間といわれています。
ソフトレンズは、使用しているレンズの素材や含水率によって、酸素が目にどのくらい届くかを表す「酸素透過率」が異なります。
酸素透過率の高さによって適切な装用時間も変わってくるため、使用している製品の添付文書を確認して正しい装用時間の目安を把握しておくことが理想的です。
装用時間内でも、個人の目の状態によっては乾きや違和感が生じる場合もあるため、無理せず使用するようにしましょう。
また、コンタクトの一日の装用時間だけでなく、ワンデー、2week、1monthそれぞれの使用期間も守るようにしましょう。使用期間を過ぎたコンタクトを使用すると、目のトラブルのリスクに繋がります。
ハードレンズの場合
ハードレンズは、サイズが角膜よりも小さく、目に必要な酸素が届きやすい点が特徴としてあげられます。
そのおかげでハードレンズは、酸素透過率が高いため一般的なソフトレンズよりも装用時間が長い傾向にあり、約16時間までが目安といわれています。
カラーコンタクトの場合
カラーコンタクトは、基本的にソフトレンズと同じ素材が使用されています。
そのため、装用時間はソフトレンズと同様に約12〜16時間までが目安となります。
ただし、レンズが着色されている分、通常のコンタクトよりも酸素透過率が低い傾向があり、基本的に長時間使用するのはおすすめできません。
目の状態に配慮し、装用時間が長くならないよう、気を付けながら使用しましょう。
初めての場合は短時間から
コンタクトの使用経験がない方は、短時間の装用にとどめておきましょう。
目がコンタクトに慣れておらず負担がかかってしまうため、初心者が初日から長時間コンタクトを使用するのはおすすめできません。
例えば、初日は6時間、2日目は8時間、3日目は10時間...
といった形で短時間からスタートし、段階的に装用時間を延ばしていくことが理想的です。
1週間程度かけて延ばしていくことが一般的ですが、コンタクトに慣れるまでの時間には個人差があるため、多少時間がかかっても焦る必要はありません。
眼科医の指示に従いながら徐々に慣らしていきましょう。
長時間装用することのリスク
コンタクトレンズに慣れている方は、つい長時間つけたままにしてしまうこともあるのではないでしょうか。
一見異常がないように思えても、目に負担がかかり気づかないうちに次のようなトラブルが発生してしまう場合があります。
目の酸素不足を引き起こす
長時間コンタクトを装用していると、目が酸素不足になる可能性が高くなります。
特にソフトレンズは角膜を完全に覆ってしまうため目に酸素が届きにくくなってしまいます。
酸素不足になると、角膜細胞中の新陳代謝のバランスが崩れてしまい、過剰な水分によって角膜の厚みが増した結果、視力の低下につながる場合があります。
また、角膜の一番上にある細胞が剥がれやすくなるのも、酸素不足が引き起こす問題のひとつです。
細胞が剥がれた状態で細菌や花粉、ほこりなどが角膜に付着すると、感染症をはじめとする、目のトラブルを引き起こす原因になりかねません。
目の乾燥や傷がつく原因となる
目の乾燥や傷につながる点も、コンタクトを長時間装用することによって引き起こされるリスクのひとつです。
コンタクトは水分を含む素材で作られており、長時間使用すると水分が徐々に蒸発し、乾燥します。
コンタクトが乾燥すると、失った水分を補うために涙を吸収するため、目が乾燥しやすくなります。
また、1日中装用したコンタクトの表面には、ゴミやほこりなどの異物が付着しています。
本来目に付着した異物は、涙や目やになどと一緒に外へ放出されますが、コンタクトの表面に異物が付着するとまばたきによって内部に取り込んでしまい、結果的に目を傷つける原因となります。
目の疲れにつながる
コンタクトの長時間使用は、目の疲れにつながる可能性もあります。
コンタクトの適切な装用時間を超えてしまうと目に大きな負担がかかってしまうため、目の疲れを感じやすくなります。
目の疲れが蓄積すると、目のかすみや視界のぼやけのみならず、頭痛や肩こりなど、身体の症状につながる可能性もあります。
身体の不調を招かないためにも、コンタクトは長時間使用しないようにしましょう。
目の病気を引き起こす可能性がある
コンタクトの装用時間を守らずに使用を続けると、次のような病気につながるリスクが高まります。
・角膜血管新生
・角膜内皮障害
・角膜浸潤
・角膜潰瘍
・巨大乳頭結膜炎
・アカントアメーバ角膜炎
・アレルギー性結膜炎
異常を放置したために症状が悪化したり、最悪の場合失明に繋がる疾患もあります。
少しでも異常を感じたら、眼科を受診するようにしましょう。
目の健康を守るために大切なこと
装用時間以外にも、コンタクトを使用するうえで守っておきたいポイントはさまざまです。
目の健康を守るために大切なことについて解説します。
装用時間を守って使用する
コンタクトを装用する際は、1日の装用時間を守りましょう。
使用しているコンタクトによって適切な装用時間が異なるため、添付文書を確認してみましょう。
コンタクトによって長時間角膜の表面が覆われている状態が続くと、目が酸素不足に陥ります。
酸素不足になると目が充血する、感染症に感染しやすくなるなどの問題が発生し、目の健康にもよくありません。
帰ったらすぐに外す、メガネを併用するなどして、装用時間が長くなりすぎないよう工夫し、習慣化することが大切です。
ケアを怠らないようにする
コンタクトの装用時間や使用期間を守るのはもちろん、日々のケアを適切に行うことが大切です。
ワンデー以外のコンタクトは使用した後の洗浄や漬け置きなどが不可欠ですが、このようなケアを正しく行わないと、レンズに汚れが蓄積して目のトラブルをまねく恐れがあります。
忙しい方やケアを負担に感じる方は、ワンデータイプのコンタクトレンズの使用も検討してみましょう。
定期的に検査を受ける
コンタクトの使用時間が長くなると、目に負担がかかり、特に自覚症状がなくても目に異常が起きている場合があります。
目の状態が悪いときにコンタクトを装用すると、状態が悪化し、結果的にコンタクトの使用が制限される可能性も否定できません。
また、目の状態に問題がなくても、視力の変化によってコンタクトが合わなくなる場合もあります。とくに年齢が若い方は、短期間で視力が低下してしまうケースもあります。
定期的に検査を受ければ、視力の変化や自覚症状のない病気も発見できるため、コンタクトをより安全に使用できるでしょう。
定期検診の頻度は、1~3か月に1度が目安といわれていますが、目に異常を感じた場合はすぐに眼科を受診するようにしましょう。
長時間装用におすすめのコンタクトレンズ
コンタクトは装用時間が長くならないことが理想ですが、やむを得ず長くなってしまうこともあるでしょう。
そのような場合は、次のようなできるだけ目に優しいコンタクトを選ぶことがおすすめです。
・ハードレンズ
ハードレンズは角膜よりサイズが小さく、まばたきの度にレンズが動くため、涙の交換がスムーズになり目に酸素を多く届けることができます。
乾燥もしづらく、長時間使用しても目にかかる負担を抑えることができます。
・シリコーンハイドロゲル素材のレンズソフトレンズ
酸素透過率が高いシリコーンハイドロゲル素材で作られたコンタクトもおすすめです。
酸素不足になりにくいだけでなく、乾燥の軽減も期待できるため、着け心地もよいといわれています。
コンタクトを長時間装用する際は、シリコーンハイドロゲル素材のソフトレンズの使用を検討してみましょう。
こちらの記事では、シリコーンハイドロゲル素材について詳しく解説しています。他のコンタクトレンズ素材との違いや特徴も紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
コンタクトの装用時間の目安や長時間装用のリスク、目の健康を守るために押さえておきたいポイントなどについて解説しました。
コンタクトの適切な装用時間は、
使用する製品や使用者の目の状態などによって異なります。無理をして長時間装用をすると様々なリスクに繋がります。
目の健康を守るために、装用時間をしっかりと守り、日々のケアや定期的な検診を怠らないようにしましょう。