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コンタクトレンズには、裏と表が存在します。そのことを知っていても、使用する際に裏表がわからなくなってしまったという方も多いのではないでしょうか。
いくつかのポイントさえ押さえてしまえば、コンタクトレンズの裏表の判別は決して難しくありません。
このコラムでは、コンタクトレンズの裏表を見分ける方法について解説します。
また、裏表が合っているにもかかわらず装用したときに違和感がある場合の原因や、裏表が逆だったときの直し方などもまとめて紹介します。
コンタクトの裏表を見分ける方法
コンタクトレンズは、角膜の形状に合うようにカーブが作られています。
黒目と白目のカーブは異なっており、黒目の方が白目より少し出ています。レンズはこのカーブに合うように設計されているため、裏表が逆になってしまうとカーブにフィットせず、違和感が生じてしまいます。
そのため、次に紹介する方法で裏表を正しく判別してから装着することが大切です。
指に乗せてフチを確認する
コンタクトレンズの裏表を判別する最も一般的な手段として、指に乗せてフチを確認する方法があげられます。
正しい向きのコンタクトレンズは、横から観察するときれいなお椀型になっており、フチが丸い曲線を描いているのが特徴です。
反対に、コンタクトレンズが裏を向いている場合はフチが外側に反り返っているような形になります。
ただし、製品によってはカーブの形がわかりにくいものもあるため、わからない場合は次の方法を試してみましょう。
指先でつまみ折り曲げて確認する
指でつまむ方法も、裏表の判別方法のひとつです。
指で軽くつまんで折り曲げてみると、表の場合はコンタクトレンズのフチは自然な形で内側に丸まります。
裏の場合、フチは内側に丸まらずに反発して外側に開きます。
しかし、この方法はコンタクトレンズの破損につながる可能性があるため、爪でレンズを傷つけない、力を入れすぎて破損させないなどの注意が必要です。
レンズのマークを確認する
レンズのマークの確認は、初心者から使い慣れた方まで幅広くおすすめできる方法です。
製品によって異なりますが、コンタクトレンズ本体に数字や文字がプリントされている場合があります。
このタイプのレンズを使用している場合は、指に乗せて外側からレンズのマークを確認してみましょう。
表になっていれば数字や文字は正しく読めますが、裏になっていると数字や文字は鏡文字となり反転して見えます。
なお、すべての製品に数字や文字が印刷されているわけではないため、気になる方は一度使用している製品をチェックしてみましょう。
裏表を見分ける際の注意点
コンタクトレンズの裏表を見分ける際は、どうしてもコンタクトレンズに触れる必要があるため、手の清潔状態や触れ方など、いくつか押さえておきたい注意点があります。
順番にチェックしていきましょう。
清潔な状態の手で確認する
コンタクトレンズの裏表を確認する際は、必ず手を清潔な状態にしてください。
人の手はさまざまな場所に触れるため、知らず知らずのうちに雑菌が付着しています。
雑菌がついてしまった手でコンタクトレンズを触ると、レンズを汚してしまい、感染症などの原因になりかねません。
日本コンタクトレンズ学会のガイドラインでは、よく泡立てた石鹸で手の甲、指先と指の間、手首まで丁寧に洗い、泡を十分すすぐことが推奨されています。
また、コンタクトレンズは濡れた状態の手にくっつきやすいくなります。手を洗ったあとは、ペーパータオルや毛羽立たない清潔なタオルで水分をしっかり拭き取りましょう。
爪を立てないように触れる
コンタクトレンズを扱う際は、爪を立てて触れないようにしましょう。
コンタクトレンズはデリケートな素材でできているため、爪を立てたり、少し力を加えたりしただけで傷がついたり破れたりすることがあります。
破損したコンタクトレンズを使用すると、角膜や結膜が傷ついてしまい、目がかすむ、感染症にかかりやすくなるなど、さまざまな目のトラブルの原因につながりかねません。
また、使用直前まで問題がなくても、爪を立てて耐久性が落ちたコンタクトレンズが、目のなかで破損するケースもあります。予防のため、普段から爪を短く整えておくことが大切です。
破損のリスクが下がるだけでなく、爪の間に溜まった汚れや雑菌がコンタクトレンズに移る心配も少なくなくなるでしょう。
予備のコンタクトや洗浄液を持ち歩いておく
いざというときに備えて、予備のコンタクトレンズや洗浄液、2weekや1monthのコンタクトを使用している方は、ケースも用意しておきましょう。
裏表を確認している最中に、コンタクトレンズが破損してしまったときや、外出中に装着しているコンタクトの裏表を確認したくなった際などにも役立ちます。
裏表が合っているのに違和感があるのはどうして?
コンタクトレンズの裏表を確認して装着したにもかかわらず、着け心地に違和感が生じるケースは決して少なくありません。
そのような場合には、他の原因が考えられます。具体的にどのようなときに違和感が生じるのかを解説します。
目が乾燥している
違和感の原因のひとつとして、目の乾燥やドライアイが考えられます。
ドライアイとは、涙の分泌量の減少、涙の質の低下を引き起こす疾患です。この状態でコンタクトを装着すると、ゴロゴロ感などの違和感の原因になりかねません。
ドライアイや目の乾燥に心当たりがある方は、以下を試してみましょう。
・メガネを併用するなどコンタクトの装着時間を短くする
・目を休ませる
・まばたきの回数が減らないよう意識する
レンズに傷や汚れがある
レンズに汚れや傷がある場合も、装用したときに違和感が生じる原因となります。
コンタクトレンズは、注意して扱わないと傷がついたり、汚れが付着したりします。
目のなかでゴロゴロする感覚がある場合は、できるだけ早くコンタクトレンズを外して汚れや傷の有無を確認してください。
汚れがあれば専用の洗浄液で手入れをし、もし傷があれば使用期限内であってもすぐに処分しましょう。
ベースカーブ(BC)が合っていない
違和感の原因として、ベースカーブ(BC)が合っていないケースも考えられます。
ベースカーブとは、コンタクトレンズのカーブ具合のことです。数値が大きくなるほどカーブが緩やかになり、小さくなるほどカーブはきつくなります。
角膜のカーブには個人差があり、自分の目にあったコンタクトレンズを使用しないと痛みが生じたり、レンズがズレやすくなるなどのトラブルを招く可能性があります。
ベースカーブは個人で判断できないため、眼科を受診して調べてもらいましょう。
間違えて裏表を逆に入れるとどうなる?
コンタクトが裏返しだと気づかずにつけてしまうこともあるかもしれません。
裏返しのまま装用すると、どのようなことが起きるのでしょうか。
裏表を間違えたまま使用するリスクについて解説します。
着け心地に違和感が生じる
裏表が逆の状態でコンタクトレンズを装用すると、着け心地に違和感が生じます。
コンタクトレンズは角膜のカーブに合わせて作られているため、裏のまま使用するとしっかり角膜にフィットしないためうまく馴染みません。
頻繁なズレやゴロゴロ感があり、ちょっとしたことで外れてしまう可能性もあります。
正しい見え方にならない
見え方がおかしくなるのも、裏表が逆の状態で装用した際に発生することのひとつです。
コンタクトは、黒目に被さるレンズの中心に度が入っていますが、逆に着けてしまうとレンズが中心からズレてしまうため、視界がぼやけてしまいます。
コンタクトをつけてもぼやけてよく見えない場合は、レンズを外して裏表を確認してみましょう。
また、見え方に違和感が生じたときは、コンタクトレンズの左右を間違えている可能性も考慮しましょう。
人によっては左右の目の視力に差があり、それぞれ違う度のコンタクトレンズを処方される場合があります。
そのため、コンタクトレンズの左右を間違えてしまうと、本来の視力矯正効果がうまく発揮されません。
乱視用のコンタクトレンズの場合は、向きにも配慮する必要があるため、本体にプリントされているガイドマークで向きを調べましょう。
目のトラブルの原因になる
コンタクトレンズの裏表を間違えたまま装用し続けると、着け心地や見え方に違和感が生じるだけでなく、深刻な目のトラブルにつながりかねません。
裏表が逆になるとうまくフィットせず、角膜に傷がつくおそれがあるためです。
角膜に傷がついたままコンタクトレンズを使用すると、傷の治りが遅くなるだけでなく、最悪の場合感染症を引き起こす可能性もあります。
違和感が生じたら放置せず、すぐにコンタクトを外して裏表をチェックすることが目の健康のためにも大切です。
裏表が逆だった場合のつけ直し方
コンタクトレンズの裏表を逆の状態でつけてしまったら、慌てずに一度外しましょう。
その後、外したレンズを保存容器に入っている保存液に一旦浸してから、裏表が正しいか確認し、つけ直します。
ただし、1dayタイプのコンタクトは何度もつけたり外したりできません。一度外すと再びつけることはできないため、新しいコンタクトレンズに交換しましょう。
外出先でも、予備を持っておくと安心でしょう。つけ直す際は、コンタクトの裏表を確認する際と同様に、汚れの付着を防ぐために手を清潔にし、よく拭いてからコンタクトに触れるようにしましょう。
こちらの記事では、コンタクトの正しいつけ方やコツを紹介しています。初心者の方や、付け外しに不安がある方はぜひ参考にしてみてください。
まとめ
コンタクトレンズは裏表を誤って装用すると着け心地や見え方に和感があるだけでなく、目のトラブルの原因にもなってしまいます。
フチの形や、プリントされているマークからしっかり裏表を確認してから装用することを習慣化しましょう。
正しくつけていても違和感が続くような場合は、別の原因も考えられるため、眼科受診を検討してください。
コンタクトの裏表の見分け方を正しくを理解し、快適なコンタクトレンズライフを過ごしましょう。